リスケジュ―ルとは

「リスケジュール」とは、現在、金融機関から受けている融資について、返済条件の見直しを行うことを指します。これは、破産や再生などに代表される法的整理ではなく、当事者間において法的整理と同一の目的を達成しようとする私的整理の方法の1つです。

具体的には、債務者が金融機関と交渉を行い、支払期限や月の支払額等を含む返済条件を緩めた返済計画に変更してもらうという方法がとられることになります。

 

 資金繰りが苦しくなっている場合、金融機関への返済は往々にして大きな負担になっているものです。そのような状況で、金融機関からの催促等に焦ってしまい、他の取引先や必要経費の支払いを差し置いても金融機関への返済を優先してしまうことが多々あります。しかし、金融機関への返済だけをなんとか続けていても、他のステークホルダーに不利益を被らせ続けることになります。これでは、結果的に会社を存続させていくことはできません。

 経営者の皆様には、「リスケジュール」という手段も選択肢として認識していただき、金融機関からの督促に焦る前に、冷静になって、第三者である専門家にご相談されることをお勧めします。

 

【近年のリスケ事情】

 ある程度明確に業務改善計画を示すことができれば、金融機関はリスケに応じてくれる可能性が高いです。

なぜなら、金融機関としても、最も防ぎたいのは1円たりとも回収できない「貸し倒れ」であるため、貸付先に再建の見込みがある場合には、一定期間を猶予してでも回収を行いたいからです。

 

 また、リスケジュールは国が認める手法でもあります。それを明確に示していたのが、「金融円滑化法」です。同法は、銀行や信用金庫などの金融機関に中小企業や個人事業主の借入返済分について返済額の減額や猶予に努めるよう国が定めた法律です。同法は、リーマンショックを契機とした景気後退に対応したものであったため、2009年12月から2013年3月までの時限立法ではありましたが、国の方針は「金融機関が引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべきということは、今後も何ら変わりません。」としています。

 

 実際に、金融庁の報告によると、2018年における「貸付条件変更等の申込」に対し実行率は97.5%となっており、現状でもリスケジュールが申請できれば「ほぼ認められている」ことが分かります。

 

 

【金融円滑化法が復活?】

 近時、世間を騒がせている新型コロナウイルスは、知っての通り経済にも大きな影響を及ぼしています。経済の悪化が会社経営に大きな打撃を与えていることは、世界中で、耳なじみのある大手企業やブランドが破産、倒産というニュースが後を絶たないことからも明らかです。

 

 そこで、日本政府も、日本も他人ごとではないと、動きを見せています。

もともと、2020年の2月上旬以降、金融機関には融資先への支援が要請されていました。しかし、金融庁は、会社の資金繰りの悪化スピードに金融面での対応が追い付いていないとの判断から、同年3月6日の大臣談話の中で、「既往債務の元本・金利を含めた返済猶予等の条件変更について、迅速かつ柔軟に対応すること」との要請を行うに至りました。

また、2018年の金融円滑化法終了後も2019年3月期までは継続していた「貸付条件の変更実施状況の報告」(リスケ報告)も復活となります。

これは、まさに政府がリーマンショック後に講じた「金融円滑化法」と同様の枠組みであり、実質的には金融円滑化法の限定復活と言えるでしょう。

 

また、4月6日には、都道府県に設置されている中小企業再生支援協議会に向けて、通常の協議会事業に加えて新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者のうち、特に影響の大きい事業者への一層の資金繰り支援を講じるため、「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール実施要領」を発表しました。このように、リスケジュールは、厳しい財政状況を乗り切る切り札として公的にも認められたものなのです。

 

 

【リスケジュ―リングに必要なもの】

 以上のように、公的にその効果と必要性が認められており、金融機関側にも一定のメリットが認められるリスケジューリングですが、返済条件を緩やかにしてもらうためには、やはりそれ相応の根拠を交渉材料として示す必要があります。

 交渉材料となり得る資料は複数あり、例えば、金融機関別取引明細書や月次資金繰り表や5か年損益予定表などが挙げられますが、やはり金融機関からも最も求められるのは「経営改善計画書」です。

 

 「経営改善計画書」は、金融機関にリスケジュールを申請する際に提示あるいは作成を求められる書類になります。金融機関によっては、所定の書式を持つところもあるようです。

この改善計画書を作成するには、事業・収益・財務等の多面から自社の現状を正しく認識し、経営環境を予測して具体的な計画を立てる必要があります。また、経営管理を徹底して行い、計画書の内容を実現していくことが必要になります。この作業には、自社の現状を最も把握している経営者と同時に、財務や経営管理について豊富な知識を持つ専門家の協力も得ることが望ましいでしょう。

 

 

【リスケジュールのメリット・デメリット】

〈メリット〉

 ①資金繰りの改善

  まさに、リスケジュールの目的そのものです。利息分と多少の元本については返済を継続していく必要が生じるのが通常ですが、1年ほどの一定期間について返済を待ってもらうことができれば、新規の借り入れを行うことと同様の効果を得ることができます。

  ここで、新規の借り入れを行うよりも現在の融資についてリスケジュールを行う方が良い点は、新規借り入れに伴う利息が発生しない点です。

 

 ②遅延・遅滞扱いをされない

  リスケジュールによって返済に猶予を与えてもらうことができた場合、返済をしていない期間や減額された金額については、遅延・遅滞扱いとはされません。よって、差押え等の法的手続を防ぐことができます。

 

〈デメリット〉

 ①新規融資が受けられない

  金融機関では、会社に対して経済的な信用力を付しています。リスケジュールを行うと、その信用格付けが「要注意先」または「破綻懸念先」に下がることになりますので、リスケジュールによって経営再建がなされるまで、新規の融資を受けることは厳しくなります。

 

 ②リスケジュールは有期の応急処置

  リスケジュールには半年~1年というおおよその期間があります。その間、返済を猶予してもらえることはメリットでもありますが、経営者はこの間に何とか経営再建を図り、「リスケの更新」を回避しなければなりません。リスケジュール中の経営は精神的なプレッシャーの下行わなくてはならないことは覚悟しておくべきでしょう。

 

 

【あとがき】

 昨今のような不測の事態による場合も含め、会社の資金繰りが悪化した場合、リスケジュールは有効であり考えなければならない手段の1つです。ただし、デメリットやリスクは付き物ですので、本当に行うべきかについては吟味が必要となります。

 現状や今後の見通しを含めた場合、破産や民事再生等の法的整理を行った方が結果的には良いケースも一定数存在するのが実状ですので、資金繰りの雲行きが怪しいと感じた際には、瀬戸際まで悩まれる前に顧問弁護士その他専門家に相談することをお勧めします。

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