破産の種類

 会社の倒産手続は,大きく「精算型」と「再建型」の2種類に分けることができます。

 

 「精算型」の手続は,いわゆる破産手続です。一方,「再建型」の手続には,民事再生等の手続が該当します。

 破産手続は上記の通り「精算型」の手続ですので,会社を清算解体することを前提に,債務を整理していくことになります。事業の中に見込みのある事業がない場合や,債務を計画的に整理しても弁済していくことができる見込みがない場合には,この手続をとらざるを得ないと言えるでしょう。

 

 破産手続には,「破産」と「特別清算」の2種類があります。

 

〖破産〗

 破産は,破産法に基づいて行われる手続です。この手続は,多少の要件の違いはありますが,個人・法人ともに適用対象となります。(公法人については認められない場合がある)

 破産手続きの流れは主に次のようになります。

 

〈破産手続の流れ〉

① 破産手続開始の申立て準備

   破産手続開始の申立を行うにあたっては,様々な書類を揃える必要があります。

・破産手続き申立書

・債権者一覧表

・債務者一覧表

・財産目録

・代表者の陳述書

・破産申立についての取締役会議事録もしくは取締役の同意書

 

 また,法人の登記や,貸借対照表・決算書などの財政状況の把握できるもの,賃金台帳などの社内規則もそろえる必要があります。このような書類を作成していく作業は非常に煩雑であるため,弁護士等の専門家と相談しながら申立に向けての準備を進めることになります。

 

② 破産開始手続の申立て

 必要書類等の準備を終えると,破産手続を開始してもらえるよう,裁判所に対し申立を行います。申立の際には,破産手続を進めていくための費用として予納金を納める必要がありますので,注意が必要です。

 

③ 破産手続開始の決定

 申立を行うと,裁判官による破産審尋を経た後,破産の要件を満たしていると認められれば「破産手続開始決定」が下されます。

 また,法人破産の場合,裁判所は開始決定と同時に必ず,破産管財人を選任します。この破産管財人は,申立人である会社の資産状況を調査,財産を換価して配当を行う,すなわち破産手続全般を担う存在です。

 

④ 財産の調査及び換価

 破産管財人が,会社の代表者への面談等を通して資産状況を調査し,会社の財産を現金化していきます。この段階で,売却可能な動産・不動産は売却され,未回収であった債権等も回収されることになります。

 

⑤ 債権者集会

 債権者集会とは,破産者が破産に至った事情や会社の資産状況について債権者や裁判所に説明をする手続きで,裁判所にて開催されます。実際には,管財人が現状報告を行うもので,債権者が主に金融機関等の場合には,議論が紛糾することもなく,粛々と進められます。

この債権者集会は,1回で終わる場合もありますが、多くの場合には何回か継続して行われることになっています。

 

⑥ 配当

 会社の財産がすべて換価されると,管財人から各債権者に対して配当が行われます。この後,裁判所によって破産手続廃止や終了の登記が行われ,会社の登記も閉鎖されることによって,破産手続きが終了します。

 

〖特別清算〗

 精算型の手続には,破産以外に「特別清算」が挙げられます。特別清算は,会社法に基づいて行われる手続で,破産とよく似ていますが,次の点で大きく異なります。

 

〈破産と特別清算の違い〉

① 破産管財人の選任

 法人の破産手続では,裁判所が必ず破産管財人を選任しますが,特別清算の場合には「特別清算人」が選任され,これには元代表者がそのまま就任することもできます。

 

② 適用対象

 破産手続は,個人・法人を問わず幅広く適用対象とされていました。しかし,特別清算は「株式会社」しか利用することができない制度となっています。

 

③ 債権者との関係

 破産手続は,債権者集会として債権者への説明の場は設けられるものの,債権者の賛否によって手続きの進行が左右されることはありません。

 しかし,特別清算の場合には,債権者と協定を結ばなくてはならないため,債権者の賛否に手続成立の成否が左右されてしまいます。

 

④ 株主総会の特別決議

 特別清算を利用しようとする株式会社は,「株主総会の特別決議」を得なくてはなりません。従って「株主の過半数が出席して行われる株主総会にて,その3分の2以上が特別清算に賛成する」ということが要件となるのです。

 親族のみが株主となっている場合などは特に問題ないかもしれませんが,株主の範囲が広い場合には大きなハードルとなってしまうことも考えられます。

 

 〈特別清算の流れ〉

  ① 会社の解散及び清算人の選任

    先に述べたように,株主総会にて特別決議をとり,株式会社を解散しなくてはなりません。

    また,同時に「特別清算人」を選任します。破産管財人は,会社に利害関係のない弁護士等が選任されるのに対して,特別清算人には,会社の元代表者や役員・顧問弁護士等が就任します。

 

  ② 特別清算手続開始の申立

    弁護士等の専門家と相談し,申立てに向けての資料を準備します。準備を終えたら,清算人が地方裁判所に特別清算手続開始の申立を行い,予納金を納付します。

 

  ③ 清算手続の開始

    申立を受けた裁判所が許可をくだすと,清算手続が開始となります。

    清算手続が開始したら,特別清算人が債権者に対し通知を出したり,債務額を計算したりすることとなります。また,会社の資産を売却するなどして換価し,債権者への支払いに向けて財源を確保します。

 

  ④ 協定案の作成・提出

    債権調査と会社資産の換価を終えたら,清算人は債権者と締結する協定案,すなわち支払案を作成し,裁判所と債権者に提出を行います。

 

  ⑤ 債権者集会

    協定案が提出されると,裁判所にて債権者集会が開催されます。この集会にて協定案についての決議がとられることになりますが,可決されるためには「出席した債権者の過半数かつすべての債権者の総債権額の3分の2以上の賛成」を得る必要があります。

 

  ⑥ 弁済

    協定案が可決されると,清算人は債権者に対し,協定案通りに配当を行います。全ての配当を終えると,清算手続は終了します。

 

〖破産か特別清算か〗

 会社の経営状況が悪化した際,特別清算を用いることができるのか,破産を選択せざるをえないのかは,自社やステークホルダーとの関係性を見極め慎重に選択しなくてはなりません。また,立て直しが見込める要素がある場合には,再建型の倒産処理が利用できる可能性も視野に入れるべきでしょう。

 多くの経営者の方は,経営状況の悪化をなかなか周囲に言い出せず,八方塞がりになるまで抱え込んでしまいます。しかしそれは,最悪の場合には,破産する資金が用意できず「破産すらできない」という状況に陥りかねません。

会社や従業員の今後のためにも,経営状況に不安を感じたら,ぜひお早めに弁護士にご相談ください。

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